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前回までは、「DXにおける変化」の考え方を説明し、企業における具体的な取り組みについて紹介してきました。今回は、少し視点を変えて、「DXに適した人材とは?」を考えてみます。
本シリーズ記事では、昨今話題となっている「DX(デジタルトランスフォーメーション)」について、弊社で担当したDX支援業務などから見えてきた、「本質と適用のための仮説」をご紹介します。数回の考察を「企業のDX導入をビジネスデザインから考える」と題して発信しますので、1つの視点としてご参考になればと思います。
「DXとは変化への適応である」と繰り返しこのコラムで説明をしてきましたが、では、その<DX適応を進めるための人材とは?>どのような考慮が必要なのでしょう。
この課題は、私達が支援するプロジェクトの中でも非常によく相談されます。私自身も自社の人材戦略を考えていく上で避けては通れない問題でもあります。
例えば、転職サイトなどでDX人材の募集要項を見ると「データサイエンティスト」などのデータ解析/活用のスペシャリストを募集していたり、ビジネス系コラムでは、必要なスキルが全方位の(こんな人材いるのか?というような)夢物語のような人材が紹介されていたり…いまいち具体的な人材像がみえてきません。また、スキルの話なのかマインドセットの話なのか、はたまた必要な業種の話なのか、この点も一緒くたに話されている場合も多く、要領を得ません。
ここまで来ると、DX戦略推進に最適な人材はそもそも存在するのか?と考えてしまうことでしょう。しかし、私なりのアプローチでは、「DX=変化への適応」をうまく分解し、人材登用に活かすことでゴールを目指しています。
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前回までのコラムで、“変化とは適応であり、必要なのは変化を受け入れられるように備えることが必要”であると説明しました。この“備えている”状態に着目するのです。言い換えると“備えている”を実現するための人材を探ることです。ここで、私は二つの役割が必要になると想定しています(あくまで確信するまでの模索中です)。
一つ目の役割は「探求者」です。英語で言えば「Explorer」です。
「探求者」は、様々な方法で問題にディープダイブして本質的な課題を“見つける”役割です。シンプルに表現すると、課題は「変化への糸口」です。変化とは「何かしら要因で現状が影響を受ける」と解釈すると、課題は<その変化を促す要因である>と考えられます。
つまり、1)変化の兆候を感じ取り、2)因子となる課題を見つけ出す ことは、変化適応において極めて重要なアプローチです。
この「探求者」を具体的な職種で言えば、データから課題を見つけ出す<データサイエンティスト>やユーザーの利用シーンから課題を見つけ出す<デザイナー>、また独自の課題意識で自己表現をする<アーティスト>になります。ここでは、職種≒肩書そのものでもなくても、【クリエイティブな思想を持つ人、仮説推論で課題をあぶり出すことのできる人】が当てはまると思います。
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二つ目の役割は「呼応者」です。英語で言えば「Responder」です。
「呼応者」は、「探求者」が見つけてきた変化への糸口を拾い上げ、正しく理解できるように定義をし、そして適応を促す人です。
探求した結果に対して呼応する、選択ではなく共感をするイメージのため、“呼応”という言葉を使っています。「呼応者」は、“呼応”するだけではなく、“反応”もします。つまり答えるだけでなく、変化適応へ向けて、行動を起こします。
この「呼応者」を具体的な職種で言えば、ゴールを定めて到達までディレクションをする<プロデューサー>や<ディレクター>、課題感を元に具体的なモノに落とし込む<エンジニア>などになります。また、より経営に近い立場で課題感から適応プランを検討する”経営企画”のような立場の人も近いかもしれません。
つまり、「探求者」が見つけ出した変化への糸口を【皆が理解しやすいように整理/定義をして、その方向へ適応を促進させることのできる人】です。
DXでは、この二つの役割の人材がうまくチームを作っていく必要があります。もちろん一人で多数の役割を担うことのできる人材もいるかもしれません。ただ、ここで重要なのは、<二つの役割が独立して必要である>ことです。意識的に二つの役割を分け、それぞれの役割が作用する必要があります。
最後に、「探求者」と「呼応者」の役割の作用についてです。2つが互いに効果を発揮するには、独立して行動をしつつも、【それぞれの取組がうまく反応するように作用を促す】必要があります。この“作用を促す”存在こそが、POINT EDGEが標榜している<ビジネスデザイナー>の役割です。
ビジネスデザイナーは、“触媒”のように二つの役割に作用して反応を起こす仲介をします。具体的には、「言語感覚の違う役割が共通認識を作り出せるように言葉の定義」をしたり、「目指すゴールを共有できるように価値を設計」したりします。それぞの状況を見極め、チームの効果が最大化するように、モノゴトをデザインしていきます。
今回は人材(=個々の役割)の話をしました。次回は、それらが組み合された「チーム作りも含めた人材戦略について、深堀りしていく予定です。
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Tetsuya Tomomatsu