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意味を,デザインする.

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Vol.2 ビジネスデザインが求められる場面

友松哲也(POINT EDGE 代表/ビジネスデザイナー)

POINT EDGEのロゴにある「BUSINESS DESIGN」は、ビジネスデザインを価値に変える会社としての宣言。3本の連続コラムを通じて、その意味と現在の考えを表現していきます。第2回目は、ビジネスデザインの使い所を想定場面で紹介していきます。なるべく特定の業界・業種で偏りがないよう抽象度を上げていますが、ビジネスデザイン投入の見極めに役立ててもらえれば幸いです。

バックナンバー:「Vol.1 ビジネスデザインがなぜ必要か?

ビジネスデザインが求められるケースとは?

ビジネスデザインは、「ミクロ的な視点とマクロ的視点を使い分け、俯瞰的にビジネスを構築していく行為」と前回の記事で記載しました。このビジネスデザイン的発想が求められる場面について考察していきます。

まず、問題整理からはじめます。我々がよくご相談いただくケースで一番多いのが、

“アイデアはあるが…どれも形になっていかない”

という相談です。経緯としてよくあるのが「コンサルティングファームに依頼をして大量のインプットを受けたが、具体的なアイデアが出ずに、次にデザイン会社に依頼をしてアイデア出しの支援を受けた。そうするとアイデアはいくつか生まれる。ただ、それを実際に事業にしようとすると市場性がなかったり、実現するためのハードルが高すぎて到底事業にできない。そこで行き詰まってしまう…」という、ご相談です。

プロジェクトではどんなことが起こっているのか?

コンサル会社やデザイン会社は十分に仕事をしていることを前提に、上記の進め方では何が起こっているのでしょうか?

コンサルティングファームから受けるインプットは、テクノロジートレンドや先進企業の事例が多いです。例えば、AIやロボティクスなど未来を感じられる技術だったり、米国企業のゲームチェンジャーの事例など、市場の最先端を紹介します。彼らは数多くの企業と仕事していますし、市場をよく観察をしていますので、今後10年勝っていける一手を提案することが得意です。そのため、コンサルティングファームからのインプットは、市場の性質や役割を考えると納得できる内容です。一方でスケールが大きく実現するためのハードルが高かったり、現業とのシナジーが薄くなってしまう傾向が少なくともあります。理由は前述した通り、今までに無い先を外部要因から描くからです。

そんな状況で、次に打つ手のひとつのケースとしてデザイン会社からの支援を求めます。

目的はより具体的なアイデア。デザイン会社に依頼してアイデア出しのワークショップなどを実施してもらうアプローチをとります。多くのデザイン会社はユーザーインサイト考察をベースに発想しますので、非常に面白いアイデアが多数出てきます。また、デザイン会社のデザイナーはある意味、アイデア出しのプロで通常ではなかなか発想できない突き抜けたアイデアも多く出てきます。さらに、ツールをふんだんに活用し実行するので、顧客は納得感を感じることが多いです。

問題はどこにある?整理しその先を考えてみる

このふたつのプロセスを経て事業開発がスタートできそう!と進めるが…ここで行き詰まります。新規事業のアイデア(この時点では計画でない)をリサーチした結果、ユーザー評価が思った以上に低かったり、市場規模が小さかったり、収支のやりくりができず、ビジネスとして成り立たない・・・つまり、ゴーサインを出すには確証が得られない状況に陥ります。そして、担当者は無限ループへと入っていき、時間だけがいたずらに過ぎていきます。

以上が現在の事業開発の現場で多発しているケースです。問題はどこにあるのでしょうか?

A 自身を責めて、あきらめるケース

自分たちに問題がある、つまり発注の仕方が悪かった、そもそも自分たちでやるべき業務を怠っていた、会社のビジョンや姿勢がはっきりしないのが問題、と自身の責任にして、結果、外部会社への協力を断つパターンです。しかし、抱えこんだところで動きが急激に鈍化する。結果、すべてが止まってしまう。

自前主義は一見、スピーディに思えますが…実際は止まりがちです。社内メンバーへの根回しや、外部と連携してプロジェクトをパラレルに動せない分、結果としてスピード感が落ちてしまいます。新規事業担当者であれば経験があるのではないでしょうか?

B 外部パートナーの期待値が低いと嘆くケース

では、頼んだ企業がよくなかったのでしょうか? いいえ違います。コンサルティングファームは非常に多くのベストプラクティスを持っていますし、優秀な人材ネットワークもあります。昨今のデザイン会社はビジネス経験の豊富なデザイナーも増えてきてますし、彼らのクリエイティブな発想は他の分野の人々と比べても圧倒的な差があります。彼らは非常に優秀な人材です。彼らの能力が問題ではない。にもかかわらず、自分たちの求めたアウトプットと違うと思い込み、間違っていたかのような感覚に陥ります。

問題の解は、<視点の違い>です。

コンサルティングファームは市場を客観的に観察しているので、そういう意味ではマクロ的視点を持っています。逆に、デザイン会社のアプローチはユーザー起点で考えるので、ミクロ的な視点です。この視点の違いを認識していない、つまりはどちらかの視点だけで事業開発をしようとして、最終的に行き詰まってしまうのです。

見方をかえると

ビジネスデザインにおける、視点を行き来する工夫

視点をいかに行き来するか? つまり、どちらか一方が重要というわけではありません。両方の視点が重要であり、その視点を行き来することが重要なのです。重要なのは、こういった二項対立の形式に終始せず、その上の視点で一貫性を持って事業開発を行うことです。

本来、ビジネス(開発)は複雑で不確実なものです。ロジカルとデザイン、論理と直感。そういった二項対立では語ることができないものです。しかし、前述のように悪循環に陥ったときは、思考が極端に振れてしまい、この視点が欠落していきます。そんな状況こそが、ビジネスデザインの使いどころです。

必要なマインドセットは、視点を行き来できるよう、視座を1レイヤー上げる意識。まずは、思考なり手法なりを、事業開発で試せる柔軟な体制です。その上で、ビジネスは不確実なものだと意識し、できる限りのトライを実行する。その姿勢が「ビジネスデザイン」だと考えています。

このように「ビジネスデザイン」では、従来の慣習に縛られず、容易に新しい考えに目移りしないことが重要です。一方で、思考や視座に一貫性を持ち、実行することが事業開発には必要だと考えます。私達はこれらを総合して「ビジネスデザイン」という言葉を使っています。言うなれば、ビジネスをデザインするために視点や視座の<いいとこ取りをする>がビジネスデザインなのです。

私たちは以下のようなアクティビティとそれを実行するためのフレームワークなどを適宜、組み合わせることで、事業開発を<なるべく体系的>に定義していく取組みを行っています。

ビジネスデザインの全体像

ビジネスデザインは俯瞰の視点です。<体系的に全体設計>をする方法であって、具体的な部分は様々なリソースを有効活用します。例えば、ユーザー体験を設計をするUXを深堀りたい場合、それを得意とするデザイン会社に依頼します。業務フローなどの組織設計はコンサルティングファームに依頼することもあります。先にいいとこ取りと言ったニュアンスはこの辺りにもあります。

このようにビジネスデザインの視点では、利用できるものは積極的に利用し、そして臨機応変に組み替えて、最大限の効果を発揮できるように尽力します。これは、かつて事業開発を成功へ導いてきた先人達のやり方となんら変わりのない、新しくも何ともない考え方だと自負しています。成功体験をした人にとって当然のような内容でしょう。しかし、新しい手法や思考が出る度に、そういった成功体験は忘れてしまいがちです。だから、私達は「ビジネスデザイン」をより体系的にしたいと考えています。そして、いつでも戻ってこれる場所として定義をしたいと考えています。

友松哲也

Tetsuya Tomomatsu

株式会社POINT EDGE代表取締役/ビジネスデザイナー
前職IT系メーカーにてソフトウェアのプロダクトマネージャーを担当。その当時から企画立案を体系的にできないかと考えUXやビジネスデザインを独学で学び始める。同社のIoT製品企画/立ち上げプロジェクトを成功に導き、より幅広いビジネス課題解決を支援したいとキャリアチェンジ。“一人の天才の力ではなく、チームの力で課題を解決する仕組みが日本企業には必要”と考え、クリエイターコミュニティを擁するデザインファーム株式会社POINT EDGEを設立。「モノゴトをデザインする」をコンセプトにさまざまな職種のクライアントにビジネス課題解決を支援している。
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